iOSデザイナのキャリア設計
12月27日のiOSアプリの講義は、iOSアプリのUI/UX設計の漫談です。UI ユーザ・インタフェース, IT用語辞典 e-Words, UX ユーザ・エクスペリエンス, IT用語辞典 e-Words
深津さんの"使ってもらえるアプリの考え方"を見ながら、漫談をしました。
iOSアプリ開発の技能の使い所
まず、自分にとっての、iOSアプリ開発の技能の使い所を考えてみます。
フルタイムとパートタイム
最初に、仕事としてのiOS開発に、自分の時間の割り振り割合で、区分します。
- フルタイム
- 雇用
- 専業開発者 (コーディング、デザイン)
- 企画、保守、運用の担当者
- フリーランス
- 専業開発者 (コーディング、デザイン)
- 開発情報のエバンジェリスト(講演、著作、セミナー)
- 雇用
- パートタイム
- 雇用
- 社内でのアプリ企画の作成
- アプリ外注のやりとり、社内での担当者
- フリーランス
- クラウドワークスなどで、都度案件を取る
- 開発情報のエバンジェリスト(講演、著作、セミナー)
- 雇用
- たまに使うかも?
- 雇用
- なんか、企画出すときの知識くらい?
- フリーランス
- 場面を思いつかない。たまにしか使わないなら、iOSなんて時間のかかる学習に時間をかけるの、正直、無駄でしょ。
- 雇用
フルタイムとなると、絵や音楽、画面設計やコーディングを含めた専業開発があります。専業開発者の雇用形態は、企業もしくはフリーランスのいずれでも、ありうります。ここでのフリーランスは、個人で事業をする個人事業主の意味です。自分で会社をたちあげて起業した場合でも、法人のなかで経営者(ひょっとすると開発者も)をするので、これは雇用に分類して、ここでは区別はしません。
事業のためのiOSアプリならば、その企画保守運用の担当者も、フルタイムに区分できるでしょう。これは、フリーランスでは、まずありえない形態です。
###収益の流れをみてみる 次に収入で考えてみましょう。まず一人が生活する最低限の収入は、地域格差はありますが、病気や老後への備えを無視しても、最低でも年間400万円は必要でしょう。
収益の仕組み、を考えておくことが重要です。
- 開発の成果物を収益とするもの
- AppStoreで販売
- 新規ユーザが増えてる場面なら、既存アプリが売れる。
- 飽和した時が、考えもの。運用保守で、あるいは利用される都度、収益が取れるアプリでなければ、潰れる。
- どんなアプリでも開発しますな受託
- 開発し続けなけばならない。
- 都度発生する顧客との打ち合わせコストなど、効率は最低。
- 自社の得意分野があり開発リソースを使いまわしできない限り、長続きは、しない。立ち上げ期の一時的な収益確保には使える。
- AppStoreで販売
- アプリを使ってもらうことで、収益が発生するもの
- いわゆるソーシャルやゲーム、広告表示など
- 自社事業のアプリ
- 賃貸の物件検索など、本質、販売者と購入者をつなげる手数料が収益源の事業は、iOSアプリと相性がいい
専業開発者かつフリーランスでiOSアプリのストア販売収入であれば、有料85円のアプリを年間6.7万DLする必要があります。ユーザ数が爆発的に伸びている間は、新規ユーザがアプリを購入するため、伸びしろが期待できます。ユーザ数が飽和すると、バージョンアップで新規購入が期待できない場合は売上が急速に激減します。またアプリがサーバを利用する場合は、広告やユーザの行動履歴が収益になるものでなかれば、その保守運用費用で潰れます。
受託開発は、いまのiOSではSDKの機能が多くなり、現時点で、すでに個人で開発できる規模を超えていると思います。サーバとクライアント、iOSアプリと画面設計が全て独りでできる人は、とても数が少ないですし、またそのような人は、すでに仕事を沢山抱えていて、半年以上の待ちだったりします。外注先として、その人でなければならない、よほど特殊な合理的な理由がないかぎり、待ってられないでしょう。
数人で開発会社を起業した場合、デザインと開発と営業で担当を分けて、それぞれの領域で、時間あたりの案件処理件数を効率化して拡大することになります。複数人で事業として運営するならば、受託開発はありでしょう。1回開発したものを顧客ごとにちょっとカスタムすれば製品になる立場が得られれば、収益率が上がるでしょう。
###事業のアプリ活用に関わってみては? 賃貸やピザ配達などで、iOSアプリを活用する事例があります。賃貸の手数料が、家賃1ヶ月分で仮に6万円とすれば、極端な表現をすればアプリでワンクリックされれば6万円の収益が得られるわけです。これは、85円のアプリを1000本販売したのと同じ収益です。
自社の事業のためのアプリは、今後、あって当たり前になるでしょう。現在はまだ、ウェブサイトでネイティブ同等の使った時の快感が出せるほどの応答速度は出ません。クーポン発行も、まだ10年は電子メール併用でしょうが、そのうちに、アプリ連動でプッシュするあなただけの特別な個人にカスタムした発行が当然になっていくでしょう。それらは、アプリをインストールしないと、実現できないものです。
社内でのiOSアプリ担当では:
- 企画、見積りと予算確保
- 開発、導入、運用
- 破棄
があります。ソフトウェアの企画は、それが使われて、破棄されるまでの流れで、とらえます。ライフサイクルのソフトウェア・ライフサイクル・プロセス, IT用語辞典 e-Wordsなど規格もあります。
iOSアプリの開発は、Windowsのアプリ開発とは、全く違います。外注で外に出して納品されれば数年は小さな改修だけで使い続けるようなものではありません。外にいるお客向けの店舗のように、必要に応じて全く違うものを開発する必要すら、生まれるでしょう。
そのようなアプリを運用していくには、その事業をよく知っている社内の人間が関わるほか、ありません。現在のiOSアプリとの関わり方としては、コーディング自体はできなくても、企画から破棄までの流れを自社事業視点で説明ができる能力を身につけ、部署を立ち上げ、そこのヘッドとして立ち位置を強めていくのが、最良でしょう。その会社の事業が継続する限り、顧客への情報流通という、最強の立場が得られます。取締役への確実かつ最短の経路です。
このほか
9ページ目からアプリの設計のプレゼンがはじまります。色々話しましたが、冒頭30分だけでこの分量になり、残り4時間分を書くのは大変なので、ここで筆を置きます。
発想法
- KJ法
- 文化人類学者川喜田二郎がデータをまとめるために考案した方法。収集した情報を小さなカードに書き、それをグループ化、分類する過程を通して、知見を得ていく発送方法。得られる結果がぼんやりしているときに、収集したデータから浮き彫りにするときなどに役立つ。
- マインドマップ
- 発想を木構造に広げて書き出す思考・発想の表現方法。私には、木構造を色や太さで絵的に表現するところに価値があるように思うので、PCなどのソフトウェアもあるが、手書きが一番だと思う。
- ファシリテータの道具箱
- ファシリテーションとは、会議やミーティングで、発現や参加の促進、話の流れの整理や認識のまとめなどをすること。そのための分析や可視化の手法が列挙されている。