2014年6月11日に大垣で開催されるWWDC2014ディベロッパ共有会 の下書きとして、
一般に公開されている部分を抜粋してブログに書いてみます。
じつは、iOS8で家電対応、はいはい家電メーカーが散々いままでやってきた分野ね、と思ってました。Bluetooth Low Energyも3年ほどやってきているので、その延長でお手軽BLE家電を皮切りに、昔から言われてきた未来を提供するのだろうなと。たぶん、ちがう。見た目はそう見えるのだろうけど、本質がなにか違う。
そんなところを考えていると、頭がパンクしそうなので、ぶっちゃけブログに書き出してしまおうと思った次第。
iOS8からの世界
長い文章読むの大変だろうから、要点まとめると:
- iOSが人間やリアル世界のデータ蓄積ポイントになり(HealthKit)、逆にリアル世界にちょっかい出せるようになる(HomeKit)
- 集積したデータは密度が薄いし人間に価値あると思わせるには加工が必須だから、データセンタ縛りになる。
- AからBに、切り替えるような世界じゃない。データセンタが世界を覆う、どの世界に属するかは自分で決めるような時代がきた。中世の宗教のある世界っぽい。
- Siriとか、そういうクラウドなところに自分の分身がいて、オートメーションしてくれる時代。ネットのあっちに自分の副脳がある感じ。それが当然の時代。
- 機械知性がリアルに来るです。しかも、実質無償で。
書籍になりました
NDAしばりが開放されると、ぶっちゃけられます
iOS8のキーノートとセッション動画をずっと家にこもって1週間見てたら、いろいろ考えすぎて夜も眠れず睡眠不足になりそうなので、ここらでブログにぶっちゃけて一段落つけようと思う。今年は https://developer.apple.com/wwdc/ でセッション動画にプレゼンテーション資料までApple自体が公知にしているから、昨年までみたいに9月までブログを書くのはNDA的におあずけではないから、あそこにある資料の範囲で、ぶっちゃけてみよう。
たぶん、気が向くと書き足したり修正したりしてると思う
文章構造もない、ストーリーもなく、だらだら書き流してみようと思う。
7年前に登場したiPhone以上に、iOS8は社会を変えるのは確実だと思っている。だから5年後そして8年後に、今年の選択で自分の人生がどう変わったのか、今年の自分の視点はそのときどう変化しているのかを確認するために、iOS8登場時点で自分が気がついたこと、思ったこと(妄想)を垂れ流しておく。
1ヶ月位は、気がついたら書き足すし、いろんな人と話して考えたことを散りばめていくから、9月まではあっちこっちで変更が入ると思う。それは、ぶっちゃけ、しかたない。
日本がとかいう芸、もう飽きたので
iOS8は、HomeKitとか、だれが見ても理解できる形の新方針が出てきた。きっとこれから、日本の家電は、とか日本をネタに雑誌や新聞で記事が大量に書かれるんだろうと思う。ぶっちゃけ、もうその芸は飽きた。
ガラケー(文字数少ないからフィーチャーフォンよりガラケーと書くことにする)の時代からiPhoneの時代に切り替わる初期の時期は、ガラケーうんぬんって言う人いたのかしらん。自分のときは、自分の目の前にあるiPhoneを触って、その感動で胸いっぱいでそれを語るのに忙しかった気がする。そのときの、ぶっちゃけをブログに書いておけばよかったと、ちょっと後悔している。
日本の既存の販売高のあるところ、例えば大手の家電や車の製造会社(あえて、メーカーという表現は使わず製造会社と書きたいところ)を材料に使うと、一般向けの話題として買ってもらえる記事になるのかもしれない。それは、ガラケーとiPhoneへの推移と国内ガラケー製造会社がAndroidスマートフォン製造会社になろうとして、結局撤退した実例があるから、それを引き合いに、そら、日本に黒船が来たぞ、と叫ぶと衆目が集まるだろうから。
IoTとかいうけど、データはどこに保存するのよ
IoTが〜、ものがネットに繋がるとかいって、半導体とか通信機器のハードウェアの製造会社がフォーラムを開催したりしているけれど、ああいうのを見るたび思っていた。“その大切な、命よりも大切なデータはだれがどこに保存するのよ。” データが命の時代に、そこが不透明なまま、ネットワーク機器を売りつけようとして売れるのかしら。
iOS7でCarPlayが入ってきたけど、ぶっちゃけ、オーディオとナビ画面をコンソール表示するだけなんてカーナビの出来損ないをiOSにやらしてどうするんだろうと思っていた。
でもiOS8で、HomeKit、Healthが入った。インターネットに接続して価値があるモノは、車(その国の輸送能力把握)、人(健康状態把握)、家(住環境把握)。それをカバーしちゃうなら、CarPlayも納得。とりあえずその場に、何かの理由をつけて設置さえしておけば、それが自動でGPSデータをiCloudにあげる状況になるから。
Internet of Thingsじゃない、iOS of Thingsだ。それなら、納得。携帯網に常時接続したセンサをもつ端末が、iCloudというデータの永続的保存先つきで、車と人と家に常時接続する世界。それならIoTだ。
“光あれ”
この世界を作った存在は最初に光あれといったらしい。IoTの話題は、自分がネットワーク上のサーバになったとき世界がどう見えるか、データがどの頻度でどうあがってくるかからスタートするのがいいと思う。
いろいろなデータがネットに上がってきて初めて、サーバにとって世界は、光あれ、となる。すべては見ることからはじまる。
iOS8、おもしろい
iOS8って、見てるととても面白い。音楽ストアとか動画のストアでコンテンツ販売とか、ブラウザゲームとか、ソーシャルとか、iOS7までいろいろ展開してきてるけど、その流れ自体はドコモのフィーチャーフォンとかDeNAとかのプレイヤが登場することで、戦略的には後追いだなって思っていた。でも、法人でも個人でも区別なく扱うし、情報の公開も区別がないという、フェアな世界だから、そこが素晴らしいなって思った。
いーびるうんぬんじゃなくて、世界に進出しようと思ったら、フェアだと思われる振る舞いしないと、受け入れてもらえないんだろうな。
iPhone登場して7年経つと、ネイティブにこの世界っていうティーンエージャーも多いんだろうな。テレビ電話なにそれ?って言われるけど、でもLINEを使っているみたいな。そういう感じで成熟しているし、これからも成熟し続けるんだろうなっておもう。
でもiOS8ではいった流れは、そういう成熟前、ちょっと日本で見たことない流れっぽい。
原理的に複製不可能な、世界にただ1つのiOSシステム
iOS7までだと、SiriとかAppStoreとかOSの更新のOTAとか、Appleが持っているサーバがなければiOSを使う快適さや意味がないって構造は、うまいなって思ってた。MS社のWindowsとか、設計当時にはネットがウェブとメールを見る程度の連絡回線でしかなかったから発想的にしかたなかったんだろうけど、単体で動作する独立して動作するように設計されたものは中国で散々海賊版が出回っていた。
単体で動作するデジタルなソフトだと、プロセッサで実行できるから原理的に複製可能。業務用でやってるような、USBドングルとかイーサネットカードのMacアドレスでラインセスデーモンを動かす形でも、中国あたりだとそれすらコピーを躊躇しないし。ってか、その認証部分をハックして無効化したのを売るとか、技術力はあるんだなとか、もう変な感心するくらいだし。
単体で動作するものは、原理的に海賊版が作れる。たとえそれが絶対に外部からデータを読み出せないように作ってあったとしても、極論、同じ振る舞いをするものをゼロから作ることすらできる。設計目標は目の前にあるのだから、無駄なこといっさいせず完成品めざしてまっしぐら開発は、けっこうはやい。
iOSのSiriあたりで、おー本体で動作させるんじゃないんだ、認識エンジンくらいなら単体メモリに収まりそうだけど、とか思っていた。iOS8で、さらにそれがクラウドの向こう側。アプリの動作すらAppleのiCloud接続前提になったら、もう本体はAppleのサーバただ1台。
いままで8億台のiOSデバイスが売れたそうだけど、iOS8で、1台のAppleのiCloudと、8億台のアクセス端末というのがiOSのシステム。iCloud、Siriとか含めて、コピーできる? むりだよ。1つのアプリの制約なく使えるデータ容量上限値が、“ペタバイト"だよ、10^15だよ。1つのアプリの上限がそれ。いま20万アプリあるそうだから、ペタの1つうえって、エキサバイト。そんな規模のシステム、クラックしてデータひきぬけるわけがないし、同じシステム構築とか原理がわかっていても、規模と蓄積学習データの規模がすざましすぎて、できるとわかってても、原理的に実行不可能。
最後に出てくる、Googleの自動運転もそうだけど、いまどきの米国から出てくる便利アイテムって、単体動作しないよね。いや、単体でも動作するんだけど、ネットから切断した状態では意味を成さないように最初から組まれている。それは、たしかにそうとしか作れないという合理性なんだけど、それが世の中にでると、例えば単体で使ってるけどAppleIDをアカウントBANされたらどうなる?的な状態なんよね。
中国が海賊版を作れない世界。もしも海賊版を作るなら、いまTwitterやFacebookのコピーサービスを展開しているように、“国レベル"で海賊版づくりと、サービス利用を推し進めないと無理な時代。やっぱそうみると、中国って、国レベルで海賊版をやりつづけてきてるんだなって思うと、合理的だし賢いね。
iOS8のプライバシー
もう、プライバシーのキーワードでWWDC2014の動画を全部見るべき(むっさ時間かかるから、自分は見ないけど)と興奮するくらい、プライバシーという単語が重要だし、キーノートやiOS8と多分Appleのデータセンタすべての設計と実装に、プライバシーが一貫して入っているんだろうと思った。きっとAppleの会社の壁には、ぷらいばしー、と大書してあるに違いないと思った。Appleの会社に入ったことないけど。
プライバシーは私生活上の事柄の情報、自分に属する、あるいは情報だけを見て自分と特定ができるもろもろの情報すべてかなって思ってる(専門用語は辞書ひけよ)。iOS8を通して、アプリはプライバシー情報にアクセスする機能が使える。例えば、連絡帳のデータを参照するとか。そういうのはiOS7までは参照させるしかなかったから、ユーザに認証ダイアログを出してOKをもらう、という実に言い訳めいたアトモスフィアの実装をしてる。
この実装はiOS8でも今の見た目同じだし、1週間後に"ほんとに許可しつづけるの?“とiOS8が勝手にユーザに再度認証確認をする、うざったいことこのうえないおせっかいさで、さらに強化までしてきてる。でもこれ、iOS7からの盲腸だなって思った。
iOS8のEULA全文読み通そうイベントとか、むっさおもしろそう
iOS8で健康データ扱いが始まると、エンドユーザライセンス(EULA)の文面はどうなるんだろう? いままでのiOSのEULAを全文読む人もいないだろうし、いちどiOSのEULAを全文読み通す会とかします?とか言う雑談がでてた。iOS7とiOS8とのEULAの項目の違いとかむっさ興味がわく。
健康データだけだと、いまは自分の端末に保存、その端末に保存されたアプリが1つのデータベースとして参照という、利用するのはユーザ個人に閉じてて、アプリで連携することはあっても、外部から共有とかはないはずだけど、そのアプリがアクセスする1つとっても、国ごとに様々な個人情報保護法案やら慣習を包括する世界に1つのEULAなのか、それとも国ごとに項目が分岐するのかとか、興味がわく。
iOS8で、CloudKitという、1つのアプリが1つのpublicなコンテナをもてる仕組みも入ったから、それの扱いもEULAで追加されてそう。
プライバシーとセキュリティ
セキュリティを家の鍵に例えよう。田舎って鍵かけるとこ、すくないらしい。プライバシーがないからかもね。でも、プライバシーがあるところ、人に見られないようにする処置をする必要があるところは、田舎でも鍵をかけてると思う。都会はいわずもがな。
プライバシーとセキュリティって、並べて書くけど、プライバシーの確保のために、セキュリティがあるんやろうね。こう、プライバシーな情報がそこになければ、うん?見えちゃってた、あぁごめんごめん、とかで済むけど。
むかし、Windowsを使ってる部署で、ネットワーク共有ドライブに奥さんとの秘密の交換日記的なファイルをおいている方がいて、その部署の残りの人はみんな気づいてるんだけど、誰が言い出すのさ?で放置状態になってたことがあったん。あれ、きっついわ。本人以外全員知って、確認のために、見ちゃってるという。
プライバシーがあるところ、セキュリティがいる。カギがかかること、カギがかかっていること、自分以外にカギがひらいていないこと、そのカギがかかっているとカギを信じられること、それって信頼の基礎として、大切で必要で不可欠。それは、自分がカギがかかっていると信じてたのに、実は設定ミスで公開されてたとか、そういう凡ミスに分類されるありきたりのミスですら、見過ごすことができない程度に、せきゅりてぃー、たいせつ。
プライバシーの情報を持っているのは、どこか
基本に戻ってゼロから考えてみよう。プライバシーの情報を持っているのは、現代はどこか? iOSデバイス? それはiOS4まではそうだった。2011年のiOS5からはいったiCloud、いまはプライバシー情報は、Appleのデータセンタにあり、手元のデバイスのデータはそれの同期したキャッシュにすぎない。iOSデバイスが壊れても新品にアカウントでログインすれば再現されるけど、Appleのデータセンタが吹き飛べばそうはいかない、なら本体はどっちだ?という話。