わふうの人が書いてます。

iOSアプリケーション開発、BLEのファームウェアとハードウェア試作のフリーランスエンジニア。

Appleスペシャルイベント2019年3月

何が発表されたの

Appleのスペシャルイベントが開催されました。

https://www.apple.com/jp/apple-events/march-2019/

このイベントの中で、4つのサービスが言及されました:

  • News配信
  • コンテンツ配信、TV+
  • ゲーム、Arcade
  • 支払い、Payment

イベントは、まず映画のオープニングのような動画(スタッフ名が入るべきところに、SiriやApple PENCILなど、Apple製品の名前などが入る)で始まり、CEOによる挨拶、担当役員によるサービスそれぞれの紹介、そして最後はTV+に集う才能ある人たちのステージ上でのおしゃべりタイムで終わります。

News配信

専門家によるキュレーション、信頼できるニュースソース、そして読み手のセキュリティとプレイバシーを守ることとして、News配信サービスが紹介されました。

月額9.99米ドルで、家族6人まで共有できます。Wall Street Journalなどが対応します。また、マガジンの配信もするそうです。

読み手のプライバシーとして、レコメンドはデバイス側で計算するとしています。レコメンドの計算はサーバー側での処理ではありません。コンテンツは一括まとめてダウンロードされるので、ユーザがどのコンテンツを見ているかをサーバー側がそのアクセス状況から判別することも、できないそうです。

アプリの画面の見た目は、さすがApplという感じで、とても美しいです。

コンテンツのレイアウトは、トップにトップコンテンツの写真があり、その下にテーブルカラムで項目が並びます。項目は左にテキスト、右に大き目の画像が配置されます。コンテンツの移動、マガジンの選択など、項目のスクロールと選択、選択による表示遷移が発生しますが、それらは横スクロールだったり、縦スクロールだったり、スクロール方向の組み合わせが混じっていますが、アイテムが並ぶ方向が縦横なので、そこからスクロール方向は自然と分かる感じで、混乱はないかも?です。

要所要所で、動画ではなくアニメーションを取り入れている感じです。オンラインのこの手のものだと、トップは動画を入れてきそうですが、トップコンテンツは写真です。でもLivePhotoのように、ちょっと動いたりします。Live cover。動画にするとどうしてもストーリーが入り込みますが、ちょっと動く写真だと、魅力的な写真(not 静止画)みたいな目を引く感じがします。スクロールに従って、文字のコントラストや区切りシンボルの大きさがスムースに変化したり、自然な感じだけど、アニメーションを要所に散りばめていて、ウェブとは違う雰囲気がよく出ています。

本文も、最初の1文字が中世の書籍でよくあるような、大きく表示されて飾り文字になっていたり、とにかく綺麗で、またその綺麗さがコンテンツの論理的な構造を乱してはいない 、デザインと意味が揃っている感じで、この辺りはさすがです。ウェブとは違うのだよ、というネイティブっぽさを感じます。

Arcade

インディだと、無料で提供するゲームになるけど、広告やクリック誘導が収益源になるのは、(あまり稼げないから?)辛いよねということなのでしょうか。

アマゾンで、漫画のインディーズ育成をしていますが、そのような感じで、アーケードという月額の囲いの中で、ゲーム配信をするそうです。Googleがゲームの配信サービスSTRADIAを発表していますが、こちらは当然オフラインでも遊べます。デバイスを握っているAppleにとって、ユーザごとのハードウェアの処理能力の予測できないくらいのばらつきは、ありませんから、オフラインで動くのは当然のことです。

2019年秋からの開始だそうです。

Payment

Apple Payをさらに一歩進めて、Apple自体がゴールドマンサックスと組んでカードブランド/イシュアになります。

アプリに管理画面ができます。支払い明細は、月ごとなどグラフ的に表示されます。また米国のクレカ支払い明細は、事業者の住所で表示されますが、それを読み取って地図や事業者名の分かりやすい表示になります。分割支払いがとても柔軟で、支払い回数や期間をアプリでグリグリ変更すれば、支払い金利がグリグリ更新されます。月1回支払いや2週間ごと支払いなど、支払い方法も柔軟に設定できるようです。

ポイント還元率は、Apple製品の支払いでは3%、オンラインの支払い(Apple Pay)で2%、リアルカードを使う場合は1%です。

リアルな物理カードも発行するそうです。チタン製で、名前がレーザマークされて、ICチップが入っています。磁気カードのストライプも、カード番号も、CVV番号もありません。本当に板みたいなカードですが、ちょっと欲しくなるくらい綺麗です。カードの支払いは、ワールドワイドにマスターカードとも連携してくそうです。マスターカードのお店で使えるなら、世界のどこでも普通に使えますね。物理カードは、2019年夏スタート。

一般利用者から見ると、マネーフォワードなどの家計簿ソフト機能が統合したKyashみたいな感じですが、Health Careアプリがフィットネスの中心担っている人もいれば、全く存在すら知らない、他社アプリを使うためHealth Careアプリが使えない人がいるように、支払いでも、Appleは第3者にデータを渡さないでしょうから、他の家計簿ソフトとの連携はできないでしょう。Appleのカードに囲い込まれて全てを集約する人なら問題はなく、そうでないならば使うメリットが見つけられない感じになりそうです。

コンテンツ配信、TV+

コンテンツ配信からさらに一歩踏み出て、自分たちでコンテンツを作っていくTV+となるそうです。

またTV appを、Mac、そしてSAMSUNG, LG, SONG, VIZIOのスマートテレビと、さらにはFire tv、Roku向けに提供するそうです。月額のサブスクリプションなら、アイテム購入で支払い課金が発生しないから、他のプラットホーム向けには、アプリはビューアでしかないとして、アプリ配信ができるのでしょうか? 今までは自社ハードウェアにサービスを囲い込んでいましたが、TV分野では、デバイスとサービスとを分離してきた形になります。

まとめに代えて、色々な流れのなかで

Appleは、ドコモのビジネスを数年遅れで世界レベルで行う会社に見えます。

ドコモのキャリアは、Appleに置けるデバイスで、そのキャリア契約もしくは周期的に買い換えられるデバイスの売り上げが、収益の基盤になります。その収益基盤の上で、課金(集金)を核にしてサービスのプラットホームを提供し、多種多様なサービス提供者と、そのサービス利用者とが繋がる場となり、それがまた新たな収益となり、かつキャリアやデバイスを使う理由にもなります。

ですが、ドコモもdマガジンなどコンテンツ配信は手がけていますが、自身でクリエータを育成することはしていません。今回は、AppleはTV+で、自分たちでコンテンツを作り配信を盛り上げていくようになります。またArcadeは、ちょうどAmazonが漫画のインディ育成に基金を設定し読まれたページ数でそれを配分するインディ育成プログラムを行なっているように、月額ベースでインディでも参加でき、かつ広告をいれなくても単純な人気/遊ばれた時間や遊んだ人という、本来の遊ぶ人に向けたゲームそのものの楽しみを盛り上げる方向を打ち出しています。

作る人が枯渇したら、作る人の奪い合いになっていく、将来に枯渇して困らないためには、今から自分たちで育成を初めて、長く続けていく、そういう節目に思えます。

ゲームのサブスクリプションが、GoogleがSTADIA、AppleがArcadeと出てきました。前者はビデオ会議ができる端末とネット環境があればよい、後者は自社デバイス縛りでオフラインでももちろん遊べる、そういう明確な違いが見えています。ネットワークサービスとして捉えたものと、ハードウェアを含めたネットという生活環境の中でのゲームというものを捉えたものと言えます。

ただ、今のネットは炎上する環境でもあります。Googleのネットありきは、基本が人の口に登ってなんぼと、人を超えてネットワークの網目の中で情報が流れてなんぼの構造です。これは炎上するのが本質でしょう。Appleのゲーム体験なら、共有するのは自分あるいはリアルに画面を見せ合う友達やネットを通じても自分がそれなりに知っている見せてもいいと思っている相手と、ネットの有無にかかわらず、それは自分もしくは相手という人です。これは人と人との関係です。これは大きな違いとなっていくでしょう。

Googleが生み出すだろうクリエーターは、人に見られてなんぼ、の方向になるでしょう。燃えてなんぼ、炎上してなんぼの、下品な方向にいかないことを祈るばかりです。Appleが生み出すだろうクリエーターは、自分や家族単位のグループが楽しみたい見たいと思わせてなんぼ、の方向になるでしょう。こちらは古典的な今までもあるクリエーターでしょう。

ニュースサービスは、新聞の体験に、美しい画面表現と機械学習を活用したレコメンドという形に見えます。どこまでいっても、個人が読む体験、が本質でしょう。

同じニュースサービスでも、日本では広告が収益のGunosyというニュースをまとめるビューアがあったりします。また今回のAppleのスペシャルイベントについて、事前に噂レベルの情報をまとめて記事にすることでPVを稼ぐサイトもあれば、その記事を元にしてSNSで盛り上がるいつもの流れもありました。

Appleが掲げる、信頼できるニュースソースそしてプライバシーとセキュリティの保たれた世界のニュース体験は、確かにあるものだとは思いますが、それが一般的に多数派のサービスなのかどうかは、Twitterを10年も継続している自分には肌感覚としてもはやわからないです。

ただ、TWを見ちゃうのは、例えば今日であればカニ化というものを初めて知ったりして、こういう体験ができるからだと思えば、自分の行動予測で提案される信頼できるニュースソースから構築された一連の記事では、永遠に知ることはないだろうなと思います。