わふうの人が書いてます。

iOSアプリケーション開発、BLEのファームウェアとハードウェア試作のフリーランスエンジニア。

アマゾンからの出版メモ

iBeaconハンドブック 出版のお知らせと雑感 で書いていますが、3月末にKindle本として出版したiBeaconハンドブックを、その後プリント・オン・デマンドを利用して紙書籍として出版できました。電子出版およびプリント・オン・デマンドを利用する方の参考になればと思い、その流れや販売方法ごとのロイヤリティなどをまとめます。

Amazonを利用した出版

アマゾンを利用した出版は、Kindle Direct Publishing(KDP)を通した電子書籍出版、そして米国アマゾン子会社のCreatespace社のプリント・オン・デマンドを利用した紙書籍の出版があります。

プリント・オン・デマンド・サービスは lulu社 なども有名ですが、ロイヤリティや印刷コストにさほどの違いがなく、Createspace社からだとアマゾンのロイヤリティが高く、書籍登録なども素早さそうだったので、利用するのはアマゾンにしぼりました。

出版のパターンは、電子書籍のみ、紙書籍のみ、電子書籍と紙書籍を合わせて販売の3つがあります。今回は、まずKindleで出版し、その後Createspace社のプリント・オン・デマンドで紙書籍を出しました。

KDPのロイヤリティは通常は35%です。他の電子書籍ストアや自分のブログなどで販売せずKDP限定販売とすることなどの条件を満たせば、70%ロイヤリティの設定ができます。この設定は90日単位で設定できます。

今回は初期の需要を高いロイヤリティで回収して、その後に販売チャネルを広げてKindleでは届かないところにも届くようにすることにしました。この限定販売には紙書籍は対象に含まれません。紙書籍はどこで販売していてもよいです。

紙書籍の流通は、Createspace社から著者自身が買い取り販売する、Createspace社のeStoreで販売する、Amazonで販売する、提携する流通業者を通して販売する、がそれぞれ選択できます。Crestespace社は、Amazonや流通を利用しない、プリント・オン・デマンドのみの利用もできます。Createspace社は米国アマゾンの子会社なので、米国Amazonへの登録の素早さ(1週間程度)およびロイヤリティの高さが魅力です。

原稿の作成と版組

原稿はMarkdownという記法を使いました。Pandocというフォーマット変換ツールで、Markdown形式からepub3形式とPDF形式の原稿を生成しています。

KDPの入稿フォーマットはいくつかありますが、epub3形式で入稿しました。Kindleは入稿した原稿をKindle独自のフォーマットに内部で変換します。Kindle独自フォーマットには、アマゾンのサイトまたはオフラインでKindle previewというパソコン・ソフトで変換とプレビュができます。ほぼepubのままでよかったのですが、数式に使っているMathXMLはKindleは対応していないようで、エラーになりました。数式部分はHTMLで数式っぽく見えるように書きました。

CreateSpace社はPDF形式で入稿します。PDFの生成は、pandocからLaTeXソースを生成して、それをスクリプトで処理してLuaLaTeXで組版をしています。LuaLaTeXはMacTexに含まれているものを利用し、Macのヒラギノフォントを利用しました。

原稿生成のスクリプトは https://github.com/reinforce-lab/pandoc_kindle_sample で公開しています。

KDPでの出版

出版自体は、iBeaconハンドブック 出版のお知らせと雑感 に書いたので省略します。

ロイヤリティの振り込み口座に、日本国内の口座が登録できるようになっています。2014年3月では登録できなかったのですが、4月から登録可能になったようです。銀行リストの中には、ジャパンネット銀行もあります。

いままでは海外送金の扱いで、その手数料を小さくするために新生銀行に口座を開設する方法がよく紹介されていましたが、今後はそのような必要はありません。

CreateSpace社からの出版

原稿はPDFで入稿します。表紙は、

  1. オンラインのツールでいくつかのデザインテンプレートをもとに作成,
  2. プロフェッショナルに依頼する (500ドル程度から),
  3. 自分でPDF形式で入稿,

の選択肢があります。オンラインのツールは写真やテキストを差し替えて見栄えの良い表紙が作れます。今回はKindle本にデザインしていただいた表紙があったこと、オンラインツールは英数のみで日本語は入力できないことから、3の自分でPDF形式で入稿しました。表紙データは背表紙部分も含むため、原稿本文のページ数が決定した後に作成します。

本文と原稿を入稿するとCreatespace社での内容審査がおこなわれて、承認されると出版可能状態になります。

紙書籍には必ずISBNの割り当てが必要になります。これは流通がISBNを使うからです。内容を更新して版が変われば、ISBNも更新します。ISBNは、

  1. Createspace社の無償割当て,
  2. 35ドルまたは99ドルでCreatespace社から買取る,
  3. 日本で自分で買い取る,

の3通りがあります。Createspace社の無償ISBN割り当ては、出版社名がCreatespace社になります。有償のものであれば出版社名などは自分で設定できます。また日本で自分でISBNを買い取るり、それを割り当てることもできます。日本でのISBN取得費用は10冊単位で2万円程度、2年更新です。

Creaetspace社の無償番号を使うと、ISBNの分類が洋書になるらしく、日本アマゾンでは例え日本語で書かれていても洋書扱いになります。

出版時には、KDPの時と同じく源泉徴収と受け取り口座の設定が必要です。源泉徴収は米国外居住者であることを証明するEINを入力するだけです。受け取り口座は米国内の口座のみが指定できます。口座がないときは小切手受け取りになります。

私はまず小切手受取りにしました。国内で小切手を換金するには5000円程度の手数料がかかります。支払いは月末締め翌々月末支払いなので支払いが発生するようであれば三菱東京UFJ銀行のカリフォルニアアカウント・プログラムで開設して登録してみようと思っています http://www.bk.mufg.jp/tsukau/kaigai/kouza/cali/

プリント・オン・デマンドの料金とロイヤリティ

著者自身が買い取る場合の価格と送料、またロイヤリティは https://www.createspace.com/Products/Book/ から計算できます。

プリント・オン・デマンドは1冊でも100冊でも冊数にかかわらず、1冊あたり定額です。流通チャンネルは、米国アマゾン、Createspace社のeStore、その他の流通卸などを選択できます。それぞれのロイヤリティもオンラインで見積もれます。販売価格にそれぞれのチャネルごとのロイヤリティをかけたものから、プリント・オン・デマンドの印刷料金を引いたものが表示されます。

iBeaconハンドブックだと、米国の標準的な書籍サイズ6インチx9インチを選択したとき80ページでした。白黒印刷で1冊2.15ドルです。送料は到着日数で3通りありますが、標準的なもので100冊購入時1冊あたり1.6ドルです。意外と送料がかかります。

ロイヤリティは販売価格を18ドルに設定した時、米国Amazon 8.65ドル、eStore 12.25ドル、expanded Distribution(その他卸) 5.05ドルです。その他卸に出した時はロイヤリティが低めに見えますが、それは米国アマゾンのロイヤリティが逆に高いからです。

CreateSpace社は米国アマゾンと連携しているので、出版すれば1週間以内で登録され販売が開始されます。

日本での紙書籍の販売

Createspace社のプリント・オン・デマンドは日本アマゾンには提供されていません。出版してから2週間程度すると、書籍登録情報が日本アマゾンにも更新されて商品として表示されるようになります。このときCreatespace社の無償割り当てのISBNを使っていると、分類が洋書に、また出版社名はCreatespace社になります。もしも自分でこれらを設定したいなら、有償か自分で買い取ったISBNを使用します。

iBeaconハンドブックの場合、日本アマゾンに商品登録されてから1週間しない程度で卸業者が販売登録をしていました。最初は販売価格1800円だったのですが、そのうち1350円になっていました。

自分で日本アマゾンで販売する場合

著者自身が日本アマゾンで販売する場合、e託販売サービスなどもありますが、Createspace社を通じて日本アマゾンに商品登録されるので、販売手数料がより有利なマーケットプレイスで販売できます。マーケットプレイスの販売手数料は、1件あたりの成約料60円、手数料 15%です。

いちいち発送するのが面倒な場合は、フルフィルメント by アマゾン (FBA)サービスが利用できます。これはアマゾンの倉庫に商品を預けておき発送業務を委託するサービスです。フルフィルメントの利用料金は、倉庫に預けるのが 20cmx25cm0.5cmの書籍で2円/月、発送時の出荷作業料 86円 送料 55円です。これはiBeaconハンドブックでの値です。書籍サイズなどで変わります。

これらのフルフィルメントサービスの対象商品は本(和書)であり、本(洋書)は対象外になっています。ですから、CreateSpace社の無償ISBNを割り当てた書籍は対象外になります。もしも自分で日本アマゾンに出品する場合は必ず自分で取得した和書のISBNを、CreateSpace社の印刷サービス利用時に設定します。海外の業者は、日本のアマゾンに出品できますので、海外業者におまかせにするならば無償ISBNでよいでしょう。

日本で自分でISBN番号を取得するときは、あわせてJANコードも購入します。JANコードの説明には、一般書店での流通管理に必要なコードだとありますが、JANコードにはISBN番号をバーコード画像にしたものの管理の役割があります。

そのため、JANコードが不要なのは、書籍にISBN番号を付与するがISBNのバーコードは表記しない場合のみです。Amazonで出品するためには必ずISBNがバーコードで印字されていなければなりません。ですから、たとえアマゾンのみで販売するから流通管理としてのJANコードが必要ではない場合でも、JANコードの取得が必要です。

これらから、FBAを利用してマーケットプレイスで販売する場合の利益Eは販売価格をPとして、

E = P x 85% (販売手数料を引いた分) - 60円 (成約手数料) - 141円 (発送費用) - 6円 (倉庫代、回転3ヶ月として) - 215円 (印刷代) - 160円 (CSから日本までの送料, 日本アマゾンまでの日本国内送料は無視)

つまり

E = P x 85% (販売手数料を引いた分) - 582円(上記金額の合計)

となります。利益Eが0になる販売価格Pは、685円です。仮に1800円で販売すれば、利益は948円 (55%)です。

米国卸が1350円で販売していますから、それと同じ値段を設定した場合の利益Eは590円です。CSからのロイヤリティとほぼ同額となります。

米国卸業者が扱ってくれるなら、任せたほうが楽そうです。