わふうの人が書いてます。

iOSアプリケーション開発、BLEのファームウェアとハードウェア試作のフリーランスエンジニア。

大垣第3回iBeaconハッカソン

第3回目を数える大垣でのiBeaconハッカソンは、本物のバスを走らせて、バス停という日常の場面およびバスという移動体でのハッカソンとなりました。 Facebbokのイベントページ

参加された方のブログなど

会場の写真

Facebookにまとめられた iBeaconハッカソン3の写真 写真。

今回走ったバスとバスの内部写真です。ちょっとした衝撃でした。MOBIUM

MOBIUMは移動を主体とした表現の場です。
大型バスをベースとしており停車可能な場所であればどこでも作品の展示や音楽の公演、映像上映など問わず表現活動を行うことができます。
この移動空間でさまざまな地域に表現活動を届け、地域間の文化交流を行なっていきたいと私たちは考えています。

実験用にバス停にみたてたノボリが用意されました。ハッカソンの文字入りです。ノボリの先端には、3Dプリンタで印刷したケース(選択の黒い筒状の部分)に収納されたビーコンが設置されています。風向きでノボリが回転するので、ビーコンのアンテナの指向性と回転角度が組み合わさって、面白いビーコン領域になりそうです。

室内で実験するために小さなノボリも用意されました。手のひらサイズのノボリの下部に、こちらも3Dプリンタで印刷されたケース(黒い部分)に格納されたビーコンが置かれています。場面にあわせた機械部品を3Dプリンタで作れると、便利なのですね。

会場及び懇親会の様子を微速度撮影したものです。解像度が落としてありますが、皆さんがどのような動きをされていたのかわかります。

第3回iBeaconハッカソン

iBeaconは、Apple社がiOS7で導入した位置と近接検出技術です。
iOS:iBeaconについて
昨年12月に初めてのハッカソンを開催してから3回目を数えるまでになりました。ハッカソンは、”ハック”と”マラソン”を組み合わせた造語で、開発者やデザイナが集まり集中的に共同作業をするイベントを表す言葉です。

第1回iBeaconハッカソン
は本物のiBeaconに触れる体験を、
第2回めのハッカソン
はOnline to Offline (O2O)、オンラインの体験とオフラインの体験が相互に影響しあう時代、をテーマに設定しました。

第3回目
は、本物のバスを走らせて、バス停というありふれた日常の場面そしてバスという移動体を取り上げました。スマートフォンの普及率が高まった今年は、ありふれた日常の場面でビーコン活用が徐々に登場するでしょう。

ハッカソンには、東京からの日帰り参加が難しい大垣という場所ですが、30名弱が集まりました。
iBeaconのビーコンを次々と発表されている(株)アプリックスそしてiBeaconのビーコンとコンテンツ管理システムの統合フレームワークを提供されている(株)ACCESSからも参加をいただきました。第1回目および2回目から引き続き参加されている方が半分弱、新規参加者が半数と参加者の顔ぶれがある程度固定してきたのかなと思います。

第3回目もビーコンは(株)アプリックスから提供を受けました。

プログラム

ハッカソンは午前と午後の部の2部構成です。
午前中に、自己紹介とiBeaconの紹介とバスでの体験を行い午後はアイディア出しと実装を行いました。
お昼及び夕方には、Google GlassとiBeaconの連携や、コンテンツ管理システムのデモンストレーションなど、2回目に参加された方々が作られたものを持ち込まれてのデモンストレーションがありました。

  • 11:00〜12:30:イントロダクションとデモアプリの体験
    • 11:00〜11:30:自己紹介
    • 11:30〜12:00:プレゼン
    • 12:00〜12:30:実際に体験(iPod touch配布)
  • 12:30〜13:30:昼食(お弁当)
    • Googleグラスのデモンストレーション(体験)
    • コンテンツ管理システムのデモンストレーション (2〜3回講演 5分間程度)
  • 13:30〜14:30:チームごとにアイデアスケッチ
  • 14:30〜17:30:実装
  • 17:30〜18:30:体験(日没は17:40)
  • 18:30〜19:00:ディスカッション(GoogleGlassデモ等)
  • 19:00〜22:00:懇親会(近くの居酒屋を予定)

イントロダクション

イントロダクションのプレゼンテーション資料です。

今回のハッカソンは初めて屋外にビーコンを設置しました。写真はB地点にある、今は使われていないバス停の金属柱に貼り付けたビーコンと、そのビーコンの電波が届く範囲(青色の楕円部分)を示しています。ビーコンが出す2.4GHzの電波は金属で反射され、柱の反対側(地図上では北側/上方向)にはほとんど届きません。下方向(地図上で南側/下方向)にはビーコンがよく見通せて50m近く電波が受信できます。

またバスは車体の前と中央そして後ろの3箇所の天井にビーコンを貼り付けました。バスに設置した場合は車体が金属製であること、またビーコンは車外から窓を通して見通せない位置に設置したこともあり、車外にはほとんど電波が出ていきませんでした。バスから5mほど離れると、ビーコンは検出できなくなりました。

ビーコンの設置位置とアンテナの方向および周囲状況で、電波の届く範囲が大きく変化すること、またそれを利用すればB点のバス停であれば、バス停から見て北側(地図の上側)と南側(地図で下側)で異なる表示をさせることもできるなど、リアルな日常でのビーコンの利用場面を設定してみました。

アイデアスケッチ

アイディアスケッチの手順を説明するプレゼンテーション資料です。

アイディアスケッチは、まず、いつ/だれ、を列挙します。つぎに、それをマトリクスにして組み合わせ、自分達が考えていなかった場面を作り出します。そして、いくつかの場面を選びディスカッションと共有をします。

ツール

トリガーデバイス 村瀬 真博 さんが、ハッカソンでも使えるiBeacon検知ツールのソースコードをGitHub上
https://github.com/calmscape?tab=repositories
に公開されています。

チームのプレゼンテーション

5件のプレゼンテーションがありました。

チーム名: カメラ 美大生

バスに乗った時に手荷物があると、荷物をおろしてお財布を出して支払いをしてと手間がかかります。乗降時に時間がかかるので、他のお客さんの待ち時間になったりバスの運行時間にも影響を与えます。そこでバスに設置したビーコンにiPhoneを反応させて、手ぶらで決済する仕組みがあるといいのです。

実際のバスでは多数の乗客がいるので、どの方がいくらの料金を支払うのかを判別しなければなりません。これは、ビーコンの情報を使ってiPadに顔写真を表示して、運転手さんが操作できるようにすれば解決できます。運転手さんは少し大変かもしれない、とのことです。

実際に実験をしてみるて、距離の判定がFarなど思ったような判定結果にならない、またProximityの値は何回かビーコンを受信した結果を平均化してから伝えるため微妙に遅延時間があり、バスで移動する乗客の位置と感覚的にあわずもたつきがある、などを指摘されました。

私の寸評は: チーム名が、おもしろい。カメラが好きな美大生とバスの組み合わせを考えるチームだから、このチーム名になったとのこと。なぜそうなった…

アプリから電波出力を設定することはできないので、iPhoneをビーコンにする構成では物理理的にビーコンの到達範囲を調整することができません。ですが受信側でRSSIの値を直接使うなどの解決方法はありそうです。

バスに限らず、”手ぶらで決済”は日常生活でそれができれば、ものすごく便利です。いまはICカードを取り出して読み出し部分に近づけたり、iPhoneではクレジットカードを取り出して読み込ませるなど、一手間がかかります。顔パス、という支払い場面はとても便利です。

おそらく顔パスのモバイル決済では、支払いと顔情報という重要な個人情報管理が必要になりそうです。ICカードの導入とおなじように、バス会社が支払いのために自社にそのような組織を新設することはありません。外部からサービスを導入するはずです。顔パス決済のような、ビーコンを活用した支払いは、モバイル決済の熾烈なアカウント争奪の戦場になるのでしょうか?

このチームのプレゼンテーションは、さらにもう1つありました。目の前でバスが発射してしまった時は、バズーカ型のデバイスをばすーんと撃つと、そのバスが次のバス停で停車する、というサービス?です。バズーカ型のデバイスにビーコンが仕込まれていて、その信号をバス運転手が受信してバスが停まります。バズでHappyに、とのことでした。

すぐ目の前にバスがいるのに次のバス停まで自分が走って移動するという、ツッコミどころを用意していただきました。イタズラでバスを停める人がいるのでは?という質問をすると、バズーカ型デバイスを押した時に決済処理をして集金をしているので、問題にはならないだろうとのことでした。意外と考えられています。

前方右側チーム

前方右側チームはビーコン検知で音声アナウンスが流れるサービスです。例えばお店に入ると商品の動画を見たりできます。
バス内では、アナウンスを動画や音声で取得ができます。
アイディアノートは、視覚にハンディキャップがある方の場面を考えられていました。しかしデモンストレーションは誰もが使うようになるだろうものでした。

私の寸評は:
このチームの方々は1回目から参加されている方々なのですが、本当に短時間で実装をしてしまう人達なのです。その動いている場面は、文章ではまず伝わっていないと思います。

このデモンストレーションでもGoogle Glassにアプリケーションを実装してビーコンに反応して動画が再生される仕組みを作り、それを実際に使っていました。身につけているしか、わからないよw

装着して使っている人を外部から見ていて、提示すべき情報の取捨選択が必要なのではと思いました。日常の毎日の場面で同じ情報を聞かされては、不快感にならないだろうかと思ったのです。ですが、思い出してみれば電車でもバスでも、同じ目的地や駅名のアナウンスを繰り返し聴いているのが日常で不快ではありません。この体験は気がつけば自然と日常に溶けこんでいそうです。

チーム名 不明 (すいません、チーム名を記録していませんでした)

寸劇でのデモンストレーションです。お酒を飲んでバスに乗り書類を忘れてしまいました。とても大切な書類で目が覚めた時には大慌てです。

バスに乗ったことを思い出して営業所に電話をしました。営業所の方は、落し物の届けはあります、どの時間にどの路線に乗られたかを教えてもらえますか?と言います。ですが泥酔していたので、乗ったバスがわかりません。仕方なくバスの営業所まで直接出向くことになりました。

バスにビーコンが設置されていれば、iPhoneにどの時間にどの路線のどの区間のバスに乗ったかを自動記録しておけます。その履歴をみれば、どの車両にいたかまでを営業所の方に伝えることができます。

そして、そのデータ自体がその場にいた証明に使えます。サーバに情報があるならば参照番号を連絡する、iPhoneにしかデータが保存されないならば画面を営業所の方に送るなどができます。営業所の方が書類の所有者であると確認ができれば、わざわざ営業所に行くこともありません。

プレゼンテーションの最後は、AR.Drone (iPhoneで操縦されることで話題になった、4つの羽があるヘリコプターのような飛行物体、クアドロコプター) で書類を配送すればいいよね、で終わりました。

私の寸評は:
ボケでいくかまじめに語るかで悩んだのですが、ボケとしては、手首に紐でくくりつけておけばいいのでは?、などがあります。

このデモンストレーションには、ビーコン活用の要素が組み合わさっていて面白いと思いました。バス会社は、ユーザがどこにいたかという絶対位置ではなく、どのバスに乗っていたかという情報があれば忘れ物の所有者確認ができます。そして、ビーコン領域検出であれば、おそらくGPSよりも電池消費量は小さいでしょうから、どのバスにいたかの常時監視ができそうです。

子連れiBeacon

子供連れのお母さんがバスに乗る場面を考えました。バス会社がだすアプリケーションを使うと、バス停付近でバスの混雑度合いがわかります。もしもバスが満員であれば、タクシーを呼ぶ機能がついています。

ですが、もしもタクシーも来ないのであれば、混雑しているとわかっていてもバスに乗るしかありません。そんなときには、バスの中のユーザがインストールしているアプリケーションが反応して、子連れの方が乗車されるから詰めてくださいと、端末から声が出て周りの方がどいてくれます。

私の寸評:
子供がいるならみたらいいじゃん、と最初にツッコミましたが、混雑した車内で小さな子供さんが見えるわけがありませんでした。独身者なのですが、そういった視点がなく、さて何を言えばいいのやらと、すこし途方にくれました。

自分にもハイキングの下山時にバスが満員で苦労した思い出がありました。その日最後のバスなので、なんとかして乗せてもらうほかなかったのですが、幸い1人だったので入り口の隙間に入れてもらって下山できました。

子供がいると、そんな場面が日常で大変なのだろうと思います。なかなか声に出して自分で詰めてくださいとはいいずらく、また運転手さんが気づいてくれるとは限らないでしょうから、その気まずさをビーコンとユーザが持っている端末の組み合わせで解決できれば面白いと思いました。

じゃんけん大会

ちょうどこのハッカソン開催日 2月26日 が出版日の
秀和システム iOS位置情報プログラミング iBeacon/GeoFence/Navi/CoreMotion/M7の理解と実践 の著者 橋本佳幸 さんがハッカソンに参加されていました。アマゾンではすでに品切れになっている著書を、じゃんけん大会の勝者たちにプレゼントされました。

iOSアプリケーションで位置情報を取得する方法はApple社のプログラミングガイドに詳しく書かれていますが、実際に使われるアプリケーション開発には、さらにコンテンツ管理やデバッグなどの実務が求めるスキルとノウハウが必要です。ちょうどO2Oやマイクロロケーションの活用が広く知られだしていますが、そのようなヒトとモノを繋ぐサービスの開発の、実務としての役立つ情報が満載です。

ハッカソンを振り返って

かなり難易度の高い設定だったと思います

3回めのハッカソンは、初めての屋外でのビーコン活用であり、さらにバスという移動体やバス停という場面まで設定して、かなり難易度の高い場面設定をしたいと思います。2回めの屋内での利用であれば、ビーコンに反応してiPhoneに何かが表示される、という利用方式で、その表示内容や人々のやりとりでストーリーを作れました。

ですが3回目の設定では、専用のアプリケーションを開発しなければデモンストレーションの場面を実際に見せることはできないケースが多かったと思います。その中でも、前方右側チーム はGoogle Glassとそのアプリケーションを作り、各チームもストーリをねりこんだプレゼンテーションでした。

1回目から続けて参加されている方々が半数で、スキルが高いことはもちろん、ビーコンの利用やハッカソンに熟練されてきたのかなと思いました。

事故がなくてよかった

各チームごとの、屋外およびバスに乗ってビーコンの電波強度の計測をしていました。バスの移動経路に、交通量が多い道路があったため自転車や自動車との接触事故が起きないかと不安があったのですが、さいわいそのようなことはなく、無事にハッカソンを終えることができ、ほっとしました。

お気軽に参加ください

30人を超す人が集まり作業ができる場は、なかなか準備が大変です。勉強会などで特定の会社がその場を提供している場合をよく見ますが、それでは他社の方が参加しづらくなるかもしれません。

このハッカソンは岐阜県の協力で成立しています。学会のようなプレゼンテーション専用の場でもなく、かといって情報交換の場でもない、お互いの知識と経験をもとに互いに話し合える機会を、へんな色なく提供していると思います。活用ください。

次回は…

3月終わりから4月にかけて、第4回iBeaconハッカソンを企画しています。また、そんな場所を使うのかといいましょうか、なんといいましょうか。面白い場面設定になると思います。

謝辞

会場の手配またハッカソンの企画および運営は、IAMAS 准教授 小林 茂さん、そしてトリガーデバイス佐藤さん、MOBIUM の尽力によるものです。

トリガーデバイスは 近づくだけで美濃観光案内 近距離通信規格を用いスマホに のビーコン設置とアプリケーション開発も担当されています。今回のハッカソンでビーコンの振る舞いを確認するアプリケーションも提供を頂きました。

このような時間と場を設けていただいたお二人に、また資材や場所を提供いただいた(株)アプリックス、(株)ACCESS、岐阜県の担当者の方々、そして参加された皆様に、重ねて感謝いたします。